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ポプラの介護教室

ポプラの介護教室では、高齢者を介護されているご家族、認知症でお困りの方、介護に興味を持っている地域住民を対象に情報発信を行い、介護の理解を深めることを目的とし活動しております。
介護するご家族が笑って過ごせるお手伝いをします。
介護方法や認知症に関する知識、介護者の健康づくりについての技術や知識の習得、福祉サービスの情報提供など、毎日の介護に役立つ具体的な方法や知識をお伝えします。
ご家族同士のふれあいや、専門職へ気軽にご相談できることも教室の魅力のひとつです。

介護教室(認知症について 第5回)

2021-09-26
こんにちわ。

日が暮れるのが早くなり、朝も夜も寒くなってきましたね。
寒暖差で体調を崩さないように、気をつけて下さい。
新型コロナウイルス感染者が8月に比べると、本当に少なくなりましたね。
ワクチン接種率も、50歳以上の方は半数以上2回目の接種が終わっています。
65歳以上に関しては9割以上が接種が終わっています。
先ほど、感染者が減ったと言いましたが、東京の大きな数字に見慣れてしまって200人台で「あ、減ってる。」と勘違いしてしまっている自分が居まして、怖いな…と思う今日この頃です。

では、「レビー小体型認知症」について詳しい概要からお話したいと思います。
レビー小体型認知症は、日本ではアルツハイマー型認知症、血管性認知症とともに三大認知症と呼ばれ、日本では高齢者の認知症の20%を占めます。
この病気は横浜大学名誉教授の精神科医、小坂健治先生が一連の研究報告により国際的に知られ、1995年に「レビー小体型認知症」と名付けられました。

瀰漫(びまん)性レビー小体病とは、主として大脳皮質(大脳の表面)の多数の神経細胞の中に異常物質(レビー小体という蛋白)が現れ、脳の神経が徐々に減っていく進行性の病気です。
この病気は高齢者に多いのですが、40歳前後でも起こります。
記憶障害を中心とする認知症状があり、生き生きとした幻視やパーキンソン症状(体がこわばり、動作が遅くなり、転びやすくなる等)が現れやすく日により頭がハッキリしていたり、ぼーっとしていたり変動が目立ちます。

【幻視】
実際には存在していないものが見える症状です。
例えば、「部屋にヘビが居る。」「子供が泣いている。」などの幻視が夜間に見られる事が多いです。

これらの視覚性の認知障害は、暗くなると現れやすくなります。
実際に存在しなくても、本人にとっては正に『現実』なので「錯覚ですよ。」「そんなものは居ませんよ!」と否定するよりも、本人の言葉を受け入れ安心させて下さい。
ぽぷらに入居されていた方にも、レビー小体型認知症の方が居ました。
夜間にナースコールが鳴り訪室すると、「カラスが沢山居るよ。」と天井の隅を見ておびえながら言われました。
私はほうきを持ってきて、「ここら辺ですか?」と天井にほうきを向けると「そこだよ。怖いよ。」と言われたので「あっちに行け。」とほうきで払う真似をすると、「あと一匹いるよ。」と言われたので「しっし!!」と言いながらほうきで払う真似をしていると「居なくなったよ。」と笑顔で言われました。
「また怖い事があったら、直ぐ呼んで下さいね。」と言うと安心され良眠されました。
子供が居ると言われた時も、お母さんの所に連れて行ったので安心して下さいと言うだけで安心され騒がれる事はなかったです。
進行型の認知症でも、アルツハイマー型とは違い『納得』されると理解され落ち着く事が多いと私的には見受けられました。
アルツハイマー型が納得しないという訳ではなく、納得されても数秒で同じ事を言われる事が多いと言う違いです。

【パーキンソン症状】
手足や筋肉のこわばり、動きの鈍さが見られ動作緩慢になり小股歩行の歩行障害、無表情など身体的症状をきたします。

これらの運動機能障害が特徴として現れるので、抗パーキンソン病薬を内服する事が多いです。
動きがゆっくりになりますが、時間はかかっても自分で出来る事が多いので見守る事が重要となります。
時間がかかってしまい、介護する側が出来るのに手伝ってしまって、意欲をなくさせてしまう事も目立つので注意して下さい。
気分がふさぎ込んだりと、うつ症状が出てしまいます。
歩行障害による転倒のリスクが高いのも、レビー小体型認知症の特徴です。
体操の試みとしては、大きく動く事を意識してあげると良いです。
口の場合は大きく開ける閉めるを繰り返したり、頭を左右にゆっくり動かしたり等です。
歩行訓練も、ゆっくりで良いので大きく歩いてみましょうと声掛けしたりが良いですね。
小股歩行なため、環境整備も重要になります。ぽぷらでも、パーキンソン症状の利用者の居室をはじめ、リビングでも導線(歩行するところ)に注意しています。


最後に前回お話しした、『自立』と『自律』についてです。

【自立】
自分の事は自分で出来る、あるいは自分で出来ることは自分でする事とされています。

【自律】
自分の事はは自分で決める事が出来る、あるいは自分をコントロール出来るとされています。

介護は、『自立支援』をサポートする事です。
ここ何年か『自立』と『自律』についての文献を何作か読んだのですが介護の世界では、『自立』を用いています。
正直、この事にこだわる必要があるのか疑問だったので閲覧したのですが、私には結局理解しきれませんでした。
言っている意味は分かるのですが、接遇しかり介護知識や技術も「こうだ。」「こうあるべきだ。」みたいな事が重要な事は分かるんです。

私自身も、ソクラテスの言葉の「無知は罪である」と反省した事もあり、学歴は低いですが知ろうとする努力は人一倍しました。
一緒に働く人に迷惑をかけたくないし、何より家族の力になりたい事が私の思いだからです。
この『自立』と『自律』に関しても、出来ないから自立ではないが、考える事は出来るから自律の方がとかの論争よりも「無知は罪である」の続きで「知は空虚なり」さらに続いて「英知持つもの英雄なり」と同じで、勉強ができるだけでは役に立たず、学んで行動する事が成功するとの話です。

こだわる所はそこではなくて無知では話になりませんが、認知症になってしまった人がいかに自分らしく穏やかな生活を送れ、家族が親を安心して任せられ、自分たちの生活を守れるかが重要なのではないかと個人的に思ってしまって。
論点がずれていると言われればそうなんですが、認知症の症状によっては考えたくない時もあれば、わからないから聞かれたくない状況の時もありますし…。
「自己決定」は常に優先しますが、考えられない事も考えたくない事もある事も認知症ならではと思うんですよね。
自立であれ、自律であれ、自己決定であれ病気によってサポートが必要な事に変わりはなく、何をするにも選ぶにも気持ちよく生活できれば認知症の人は安心して穏やかに過ごせると思うんですよ。
全てにおいてこだわったりしすぎる所が、介護離れや虐待を生み出している気がしてしまう今日この頃です。

次回は『前頭側頭型認知症』についてと、薬についてお話を
したいと思います。

介護教室(認知症について 第4回)

2021-09-03
こんにちわ。晴れの日は短く、雨が続き不安定な天気です。

新型コロナウイルス感染症変異株が猛威を振るい、子供達にまで広がっています。
妊婦さんが感染し自宅で療養中に悪化…
受け入れてもらえる病院がなく、自宅で死産のニュースには言葉が出ませんでした。
医療もほぼ崩壊、なかなか希望を持てる先は見えませんが、自分と周りの人達を守るために感染に注意し、規則正しい食事摂取をし頑張りましょう!!
今回は配信が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

では『血管性認知症』について、お話したいと思います。
前回、『脳血管性認知症』と記載してしまったのですが、今は『脳』は付けないそうです。
勉強不足で、大変申し訳ありません(涙)

現在、グループホームぽぷらでの血管性認知症は、全体の38%7名です。
血管性認知症とアルツハイマー型認知症の混合、血管性認知症とレビー小体型認知症の混合がその内の2名になります。
血管性認知症は、唯一進行を止める事が可能と言われる認知症です。

原則としては進行しなく、脳血管障害の再発防止に注意していけば良いという事です。
脳の損傷部位で、症状は異なります。

個人的な意見になりますが、本当にまちまちだなと感じます。
60~70歳代にかけて、男性に多いとされていて、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が起因とされています。
脳血管障害の後遺症として、突然発症します。

『血管性障害(脳卒中)』とは何かを説明します。
血管が詰まる【脳梗塞】、血管が破れる【脳出血】、同じく血管が破れる【くも膜下出血】の3つに分類されます。

【脳梗塞】
ラクナ梗塞…発作を繰り返すと認知症やパーキンソン症候群の原因になります。日本人に多いです。

アテローム血栓性脳梗塞…ラクナ梗塞より重症です。

心原性脳塞栓症…心原性とは心臓の中でできた血液の塊が原因で、他のタイプの脳梗塞に比べて起こり方が突然で重症例が多いです。

【脳出血】
多くの場合、左右どちらかの半身に麻痺や感覚の異常が起こります。

【くも膜下出血】
脳の外に起こる出血なので通常手足の麻痺等は生じません。


血管性障害になる主な原因は生活習慣病です。
高血圧・糖尿病・高脂血症・心疾患(不整脈等)・高コレステロールがある方は要注意です。
一番の原因は高血圧なので、血圧管理は大切です。

『血管性認知症』の方はこれらを予防する事で進行しないように出来ると言われています。
どこの施設もそうですが、毎日のバイタル測定は本当に大切な事です。

血管性障害で言語障害が後遺症として出る場合があるのですが、失語症は言葉を正しく使ったり、理解する事が難しくなります。
構音障害は言葉を使う力や理解する力は失われていませんが、呂律が回らない状態になってしまいます。

脳血管疾患が原因で生じる失語症は40%は改善するとされていますので、言語・非言語を通じて実用的なコミュニケーションが大切です。
構音障害はのどや口で言語音を作る筋肉の麻痺や機能低下を起こしているので、口の体操や発音・発語の練習をするコミュニケーションが大切です。
ですが、生活の絵のパネルを作って訴えたいことを共有したり、はい・いいえで答えられるようにしたりとノンバーバール・コミュニケーションを使用する事も状態によってはストレスが軽減されるので、私は有効と考えています。
言葉って大切なだけに、うまく伝わらない事で人と携わらなくなってしまったり怒りに変わってしまったりする事があるので血管性認知症になってしまった方には、何が一番ストレスにならないかを良く観察し、コミュニケーションを取って下さい。

やはり、「自分の事は人に迷惑をかけないで自分でしたい。」と誰もがそう自立を思う中で、言いたい事が伝わらないのは悲しく辛く苛立ってしまうと思います。
血管性認知症の方は、一概には言えませんが私が見てきた中で一番怒りっぽいように感じます。

それはきっと、言いたいことが上手に伝えられないからなのかなと思う事が多々ありました。
それとともに、話しながら泣き出したりとの感情失禁も目立つ事が多いように感じます。

『自立』について、今色々と資料を見ながら考えています。
『自立』と『自律』、皆さんはどう思いますか?

次回は、瀰漫(びまん)性レビー小体型認知症と自立と自律について
お話ししたいと思います。

介護教室(認知症について 第3回)

2021-07-25
こんにちわ。

梅雨明けし、毎日暑い日が続いています。
しっかり水分摂取をし、十分な睡眠を取って健康管理に注意して下さい。
オリンピックも始まりましたね!新型コロナウイルスが収束しない中不安も大きいですが、応援を影ながらしています。

コロナの予防注射がポプラサポートではほとんどを終え、入居されている利用者では誰一人熱発や体調不良なく元気に過ごされています。
ただ、職員が二回目の予防注射で熱発し体調不良を訴える人が半数近く居て心配です。
いつまで新型コロナウイルスの脅威を感じ、生活しなければならないのか不安は尽きませんが一日も早い終息と、皆が笑顔で過ごせる日々が来る事を心から望みます。

では、今回はアルツハイマー型認知症の分かりやすい説明を話したいと思います。
アルツハイマー型認知症の主症状は『記憶障害』です。
見当識障害の表出には、順序があります。
時間・時・季節の見当識障害から始まり、進行に伴って場所や人に対する見当識障害が見られます。

【見当識障害】
見当識とは、現在の時刻・日付・場所・人物・周囲の状況等総合的に判断して自分が今置かれている状況を理解する能力の事です。
これらが正確に認識できなくなる事を、『見当識障害』と言います。

アルツハイマー型認知症の経過は、前期・中期・後期の三段階に分けられます。

〈前期〉
新しく体験した事や、仕入れた情報を思い出せなくなる近時記憶、あるいはエピソード記憶の障害と、時間日時の見当識障害が中心に表れます。
⇒なんとなくいつもと違うな…と思う事が目立ち始めます。

〈中期〉
前期の症状に加えて、さまざまな古い記憶(遠隔記憶)も障害され、時間的見当識の障害に加えて場所の見当識も障害され慣れた道で迷ったりします。
日常の生活や行動に誤りが生じ介護が必要となります。
⇒日常生活に支障が始まり、周囲がハッキリと分かります。

〈後期〉
記憶の障害はさらに著しくなり、家族の名前も忘れ、人物の見当識も失われてしまいます。
着衣・摂食・排泄等の基本的行動にも全て介助が必要となります。
活動性は次第に減少し最後は寝たきりとなります。
⇒服を着る事も、食事をする事も、生活する全ての一連を忘れてしまいます。

私の勝手な見解と、体験してきた中での考えですが…

後期に入った時に気になった事は、家族の名前を忘れるのも確かにあったのですが、自分が子供といいますか自分の親と生活している状況の話が一番多かったように感じます。
手前の記憶から無くなっていくからか、自分の子供の話より自分が子供だった頃の話が多く聞かれました。
そして、中期の症状が一番傍から離れられない状況が多いと感じます。
多動やひとり歩き、常同行為が見られ、しっかり寄り添う事が必要となります。

上記に書いた『ひとり歩き』とは『徘徊』の言い換えです。 簡単に説明しますと

〈徘徊〉とは、目的もなく、ただうろつき回る事。
〈ひとり歩き〉とは、何かの目的があって動く事。

福岡県や東京都の自治体では、認知症の人は「散歩や買い物等外出(動く)目的があり、記憶違いで迷ってしまうだけ。」と『徘徊』ではないとしています。
認知症に関する研修の認知症介護実践者研修や認知症介護リーダー研修でも『ひとり歩き』を推奨しています。
逆に青森県では、『徘徊』の方が行方不明者だと市民に緊急性が伝わり、ひとり歩きと置き換えると状況を軽く捉えている感じで危険にさらす事になるのではないか?との考え方で『徘徊』を推奨しています。

ポプラサポートでも、デイサービス・小規模多機能型・グループホームの全職員にアンケートを実施し、会議にて話合いをしました。
デイサービスではほとんどの職員が『ひとり歩き』が良いとの意見でした。
デイサービスは職員が、ほぼ認知症介護実践者研修を受けており「目的がある行動」「家族の感じ方も、その方が迷惑を掛けていないと感じるのではないか。」との意見が多く、小規模多機能型ではどちらも使用せず、行動を言葉や記録にしているとの事でした。
グループホームでは、見事に意見が半数に分かれました。

『徘徊』を推奨する意見で多かったのが、青森県と同じ意見の「危険性」を強く推していました。
事実、報道があまりないだけで、認知症の行方不明者数は年間で1万7479人です。
実に悲しい事です…。『ひとり歩き』を推奨する意見はデイサービスと同じで「目的がある行動」「記録に残すのも、家族に伝えるのも、理由がある事を前提」との意見が多かったです。
一人の職員からは、ケースバイケースで両方を使用しても良いのではないか?との意見もありました。

以上の結果を踏まえて、ポプラサポートでは『ひとり歩き』を口頭でも記録でも使用する運びとなりました。
今後増えていく認知症の方や、大切な家族が認知症になってしまった家族の方たちの、少しでもお手伝いが出来るように常に勉強会も実施しています。
もちろん、相談も受け付けていますので、お気軽にご相談下さい!!

次回は、脳血管性認知症についてお話したいと思います。

介護教室(認知症について 第2回)

2021-06-25
こんにちは。
すっかり梅雨入りで、雨と湿度で気持ちまで滅入ってしまいそうですね。
この時期は心身ともにバランスを崩しやすいので、しっかり栄養と睡眠を取り体調管理を心掛けて「楽しかった事」「うれしかった事」を朝一番に思い出してちょっと口角を上げて一日をstartして下さい。
気持ちってすごい大切な事で、過去にこんな事がありました。

どうしても大きな病院とかでは、時間でしか排泄交換に回れない現状があります。。
その患者さんは気持ち悪かったんでしょうね、脳血管性認知症の半身麻痺の方がベッド柵や布団やカーテンに便を拭ってしまっていて、看護師が怒っていました。

グループホームが少人数なのは、「その人らしい生活」が出来るようにと排泄についてその人のタイミングに合わせた事をアセスメントし、不潔行為に繋がらないようにお手伝い出来ますが、大きな病院や施設だと時間的な援助になってしまいます。
仕方のない事と考えられるのですが、先ほど述べた「気持ちって、凄い大切」が大きな違いが生まれます。
忙しいと気持ちに余裕がなくなり、想定外の事が起こると怒りっぽくなってしまいます。
認知症の方に対しては、特になりやすい傾向にあります。で、怒っていた看護師2人の前で笑いながら「凄い!片手でここまで出来るなんて、凄いね〇〇さん!」と言いました。

「は?!」と看護師2人は顔をしましたが、次の出来事もあったからか怒っていた表情が笑いといつものエキスパートナースに戻りました。
「いやあ、そんな事ないよ。」と患者が照れくさそうに、便で汚染されていた手で頭を撫でてしまいました…。「ああ!!褒める前に汚染された手をゴム手袋をつけるべきだった!!」と笑って言った私に、大笑いされました。
すかさず、「ここは私に任せて下さい。このまま入浴介助するので、他を回って下さい!」と言うと(夜間なので3人で排泄交換に回るのが、2人で回る事になるので結果大変は大変なのですが…)「わかった!排泄交換終わったら、手伝うね!」と怒っていたなんて思えない表情で、協力しあういつものスタイルに戻っていました。

基本、看護も介護も『人のために、何か役に立ちたい』を志しているので、想定外の事も本来はなんなく対応できるんですよね。
気持ちが喜怒哀楽・無の、どの部分にあるかで、その時の態度が違ってしまいます。
「楽しい時」「嬉しい時」に想定外の事が起きても、本来の自分の本領を発揮出来ると私は思っています。
一日の始まりの朝に「楽しい事」「嬉しい事」を思い出すことで、自分らしい介護のお手伝いが出来ると思います。
リフレーミングも大切で、大変と思うから大変なんですよね。
よくある、大した事ではないと考えると、全然気持ちが楽です。介護に従事する時は、気持ちと考え方って凄い大切です。


長くなってしまいましたが(笑)
今回は『アルツハイマー型認知症』についてお話したいと思います。

【アルツハイマー型認知症】
1906年にユダヤ人であるドイツの精神科医、アロイス・アルツハイマーが症例を報告し翌年には『老人班』や『精神原線維変化』、『神経細胞の消失』といった神経学的初見を報告し『アルツハイマー型認知症』と名付けられました。
難しい話としては…
・アミロイドβが蓄積し、『老人班』(蛋白質の沈着の事です)が脳に出現します
・リン酸化タウの蓄積が蓄積し、『神経原線維変化』(神経細胞が変性している事です)が脳に出現します
・脳の神経細胞が壊れ、脳の萎縮が進行していきます。特に大脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉の変化が顕著です

テレビで、米バイオジェン社がアルツハイマー型認知症に治療薬としての新薬が認可されたと放送されていましたね。
先に述べたアミロイドβプラークを59~71%減少でき、認知障害の悪化を遅らせる効果がエビデンスとして今回は承認されたようです。
追加の臨床試験で有効性を証明できない場合は、承認の取り消しになるみたいですが…。

やはり、『治す薬』などは奇跡が起こらない限り夢のまた夢なのでしょうかね。
日々、何度も何度も失敗しても取り組む姿は、尊敬しかありませんが。
栃木県に初めて『物忘れ外来』を獨協医科大学で開いた、現(医)滝澤病院理事長の大森健一先生の授業を昨年に受けた時に「医学会では、85歳以上の4人に1人は認知症で老化による症状なため、今後認知症薬の取り組みは行っていかない。」とのお話がありました。
老化を防ぐ薬は作れない、治す薬はないとの見解だそうです。

確かに、今回の新薬も早期に内服し「進行を遅らせる」という薬なため、認知症が治る薬ではないので『認知症の方がいかに自分らしく生活できるか。』が何よりも重要な事だと再確認しました。
確かに薬は大切なんです、特に初期と中期の認知症な方には。
後期の認知症の方には、最低限の必要な薬だけで十分です。
いずれ順を追って、お話ししますね。

次回はわかりやすい説明のアルツハイマー型認知症についてお話したいと思います。

介護教室 (認知症について 第1回)

2021-05-25
こんにちわ。
コロナの収束もままならず、終息には程遠そうですね。

では、認知症の基礎知識をお話ししたいと思います。
平成16年12月24日に『痴呆』という用語から『認知症』という用語を行政や一般的に用いることになりました。

認知症とは、一度獲得した知的能力の後天的低下の事で脳器質病変による症状群です。
簡単に言うと、何かの病気によって起こる認知機能の障害の、症状や状態の総称です。

何かの病気の認知症の主な原因疾患はたくさんあります。
・脳血管障害(脳血管性認知症)
脳梗塞、脳出血
・退行変性疾患
アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、瀰漫性レビー小体病、ピック病等
・内分泌、代謝性中毒性疾患
甲状腺機能低下症、脳リピドーシス、肝性脳症、肺性脳症、透析脳症、低酸素症、低血糖症、アルコール脳症、薬物中毒等
・感染性疾患
ヤコブ病、亜急性硬化性農園、各種脳炎、髄膜炎、脳腫瘍、脳寄生虫等
・腫瘍性麻痺
脳腫瘍(原発性、持続性)、髄膜癌腫瘍等
・外傷性疾患
慢性硬膜下血腫、頭部外傷後後遺症等
・その他
正常圧水頭症、多発性硬化症、神経ベーチェット、サルコイドーシス、シェーグレン症候群等

上記のように認知症をきたす疾患は様々あります。中でも多いのはアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症です。
認知機能の障害を回復する事は困難な認知症ですが、一方で脳炎や外傷や正常圧水頭症のように
脳の障害が改善すると、認知症も改善する場合があります。

老化による認知症もあります。
脳は20歳台をピークに、だんだん萎縮が始まります。
50歳辺りから徐々に認知機能が低下し、60歳台で萎縮が顕著(5~10%減)になり80歳台で10~20%も萎縮します。
人間はすべて細胞で出来ていて、萎縮は神経細胞の減少が原因で起こります。

私が病院や施設で認知症の方と関わって感じた事は、「アルツハイマー型認知症でも脳血管性認知症でも同じ薬が効果がある」とか
「同じ対応で落ち着ける」は絶対にないと思いました。その人その人に、もともとの性格や暮らしの違いもあり、薬の効能の違いや
対応によっての反応が違うため『認知症は一緒』ではなく『一人一人にあった対応と内服薬』が重要と思います。

では、『認知機能』とは何かを説明します。
物事や外界を正しく理解し、適切に実行するための機能の事を言います。
具体的に、記憶・判断・計算・理解・学習・思考・言語及び実行機能(行動制御)等の脳の高次の機能の事を言います。

今回は認知症の基礎知識をお話しさせていただきました。
次回は各種の疾患の詳しい説明と、症状の説明をお話しさせていただきます。

グループホームぽぷら 管理者:櫛引 愛

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