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ポプラの介護教室

介護教室(認知症について 第2回)

2021-06-25
こんにちは。
すっかり梅雨入りで、雨と湿度で気持ちまで滅入ってしまいそうですね。
この時期は心身ともにバランスを崩しやすいので、しっかり栄養と睡眠を取り体調管理を心掛けて「楽しかった事」「うれしかった事」を朝一番に思い出してちょっと口角を上げて一日をstartして下さい。
気持ちってすごい大切な事で、過去にこんな事がありました。

どうしても大きな病院とかでは、時間でしか排泄交換に回れない現状があります。。
その患者さんは気持ち悪かったんでしょうね、脳血管性認知症の半身麻痺の方がベッド柵や布団やカーテンに便を拭ってしまっていて、看護師が怒っていました。

グループホームが少人数なのは、「その人らしい生活」が出来るようにと排泄についてその人のタイミングに合わせた事をアセスメントし、不潔行為に繋がらないようにお手伝い出来ますが、大きな病院や施設だと時間的な援助になってしまいます。
仕方のない事と考えられるのですが、先ほど述べた「気持ちって、凄い大切」が大きな違いが生まれます。
忙しいと気持ちに余裕がなくなり、想定外の事が起こると怒りっぽくなってしまいます。
認知症の方に対しては、特になりやすい傾向にあります。で、怒っていた看護師2人の前で笑いながら「凄い!片手でここまで出来るなんて、凄いね〇〇さん!」と言いました。

「は?!」と看護師2人は顔をしましたが、次の出来事もあったからか怒っていた表情が笑いといつものエキスパートナースに戻りました。
「いやあ、そんな事ないよ。」と患者が照れくさそうに、便で汚染されていた手で頭を撫でてしまいました…。「ああ!!褒める前に汚染された手をゴム手袋をつけるべきだった!!」と笑って言った私に、大笑いされました。
すかさず、「ここは私に任せて下さい。このまま入浴介助するので、他を回って下さい!」と言うと(夜間なので3人で排泄交換に回るのが、2人で回る事になるので結果大変は大変なのですが…)「わかった!排泄交換終わったら、手伝うね!」と怒っていたなんて思えない表情で、協力しあういつものスタイルに戻っていました。

基本、看護も介護も『人のために、何か役に立ちたい』を志しているので、想定外の事も本来はなんなく対応できるんですよね。
気持ちが喜怒哀楽・無の、どの部分にあるかで、その時の態度が違ってしまいます。
「楽しい時」「嬉しい時」に想定外の事が起きても、本来の自分の本領を発揮出来ると私は思っています。
一日の始まりの朝に「楽しい事」「嬉しい事」を思い出すことで、自分らしい介護のお手伝いが出来ると思います。
リフレーミングも大切で、大変と思うから大変なんですよね。
よくある、大した事ではないと考えると、全然気持ちが楽です。介護に従事する時は、気持ちと考え方って凄い大切です。


長くなってしまいましたが(笑)
今回は『アルツハイマー型認知症』についてお話したいと思います。

【アルツハイマー型認知症】
1906年にユダヤ人であるドイツの精神科医、アロイス・アルツハイマーが症例を報告し翌年には『老人班』や『精神原線維変化』、『神経細胞の消失』といった神経学的初見を報告し『アルツハイマー型認知症』と名付けられました。
難しい話としては…
・アミロイドβが蓄積し、『老人班』(蛋白質の沈着の事です)が脳に出現します
・リン酸化タウの蓄積が蓄積し、『神経原線維変化』(神経細胞が変性している事です)が脳に出現します
・脳の神経細胞が壊れ、脳の萎縮が進行していきます。特に大脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉の変化が顕著です

テレビで、米バイオジェン社がアルツハイマー型認知症に治療薬としての新薬が認可されたと放送されていましたね。
先に述べたアミロイドβプラークを59~71%減少でき、認知障害の悪化を遅らせる効果がエビデンスとして今回は承認されたようです。
追加の臨床試験で有効性を証明できない場合は、承認の取り消しになるみたいですが…。

やはり、『治す薬』などは奇跡が起こらない限り夢のまた夢なのでしょうかね。
日々、何度も何度も失敗しても取り組む姿は、尊敬しかありませんが。
栃木県に初めて『物忘れ外来』を獨協医科大学で開いた、現(医)滝澤病院理事長の大森健一先生の授業を昨年に受けた時に「医学会では、85歳以上の4人に1人は認知症で老化による症状なため、今後認知症薬の取り組みは行っていかない。」とのお話がありました。
老化を防ぐ薬は作れない、治す薬はないとの見解だそうです。

確かに、今回の新薬も早期に内服し「進行を遅らせる」という薬なため、認知症が治る薬ではないので『認知症の方がいかに自分らしく生活できるか。』が何よりも重要な事だと再確認しました。
確かに薬は大切なんです、特に初期と中期の認知症な方には。
後期の認知症の方には、最低限の必要な薬だけで十分です。
いずれ順を追って、お話ししますね。

次回はわかりやすい説明のアルツハイマー型認知症についてお話したいと思います。

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